VC-AD
(Value-Continuous AI Development)
実装は使い捨てられるが、価値は連続する。 AI時代の "Boundary-Driven" な開発プロトコル。
概要
VC-AD(Value-Continuous AI Development) は、 AIによる圧倒的な実装スピードを享受しながら、人間が設計と責任の「中核」を掌握し続けるための開発プロトコルです。
実装の細部はAIに任せつつ、人間は以下の 「価値の構造(骨格)」 を定義することに集中します。
- Decision: なぜそう判断したのか(意図の固定)
- Boundary: どこまでなら自由にやってよいか(安全地帯の定義)
- Connection: システム同士をどう接続するか(越境の管理)
- Closure: 失敗時にどう責任を取るか(安全な停止)
- Component: それらがどこに適用されるか(適用範囲)
これらを構造化することで、「実装はAIによって高速に使い捨てられ、価値ある設計だけが連続する」 開発を実現します。
VC-AD 憲法
VCDesign との関係
VCDesign が「価値を継続させるための設計原則(思想・憲法)」であるのに対し、 VC-AD はそれを AI開発プロセスとして具体化した実装指向の方法論です。
- VCDesign: 価値はどこで生まれ、どこで失われるか / 判断主体(人間/AI)の境界はどこか
- VC-AD: AIが実装を生成しても、価値と責任をどう保存するか / それをどうプロトコルとして管理するか
VC-AD は VCDesign の思想を、AI実装の現場に接続する役割を担います。
なぜ VC-AD なのか?
「AI時代の開発が抱える問題」や「VC-AD の基本構造(11の境界)」については、 以下のページで詳しく解説しています。
使い方(Quickstart)
VC-ADは「全部を最初に設計する」手法ではありません。
AIに実装を作らせる自由と、人間が責任を保持する境界を分離しながら進めます。
下記のプロンプトを生成AIに貼り付ければ、支援してくれます。
AIに渡す最小プロンプト(テンプレ)
Step 0: 無境界生成(まずはAIに暴れさせる)
- 目的: スピード優先で、動くものを最速で作る
- オンメモリ/ダミーIO/ローカルで動く最小の実装をAIに生成させる
- 途中で細かく指示せず、完成形までのTODOをまとめて渡す
- この段階では「境界」は固定しない(壊せる前提)
Step 1: Boundaryの定義(守るべきラインを引く)
- 目的: 永続化データや外部連携など、取り返しのつかない箇所を保護する
- 永続化・運用・責任が発生する地点を見つける
- そこに「壊してはいけない条件(must/must-not)」をBoundaryとして定義する
- 例:PIIを外へ出さない/監査ログ必須/OT制御系へ直接書き込まない
Step 2: Connectionの定義(越境するルートを決める)
- 目的: コンポーネント間の連携点(越境点)を明確にする
- A→Bの越境点(API/イベント/バッチ)をConnectionとして宣言する
- Connectionは「流れ」だけを書く(原則や事故処理は書かない)
Step 3: Closureの実装(失敗しても安全に終わらせる)
- 目的: 異常が発生しても、システム全体を壊さずに安全に停止させる
- 各Connectionに対して、失敗時の終わらせ方をClosureとして定義する
- リトライ/タイムアウト/サーキットブレーカー/冪等性/補償/人へのエスカレーション
- 目標は「失敗しても責務が閉じる」状態を作ること
Step 4: Componentの適用(どこで動くかを決める)
- 目的: 実装が適用される具体的な場所(ディレクトリ・サービス)を確定する
- どのディレクトリ/サービスに、どのBoundary/Connection/Closureが適用されるかをComponentで定義する
- これにより、AIに渡す「実行可能な文脈単位」が確定する
YAML プロトコルによる実装
VC-AD は、decisions.yaml, boundaries.yaml などのプロトコルとして具体化されています。
例:boundaries.yaml (Snippet)
boundaries:
# PII(個人情報)をマスクせずに記録してはならない
- id: "b-logging-04"
name: "pii-privacy-protection"
description: "PII(個人情報)をマスクせずに記録してはならない"
type: "invariant"
derived_from_decisions: ["d-logging-04"]
これらは次のリポジトリで「参照実装 (Reference Protocol Set)」として公開されています。
リサーチ
まとめ
VC-AD は、
「実装が変わり続けても、判断と責任が価値として連続する開発手法」です。
VCDesign の思想と、AI開発の現場をつなぐための 実践的プロトコルとして位置づけられます。