思想
Value Continuity
VCDesign の上位にある思想です。特定の方法論に依存しない原則として、value-continuity/value-continuity で公開されています。
正本には独自のサイトがないため、このページを入口として置いています。定義と原則は正本の文言をそのまま引用し、このページで書き換えたり、足したりしません。表現が食い違う場合は正本が優先します。正本は日本語で書かれ、MIT License で公開されています。
1. Value Continuity
Value Continuity(価値の継続)とは、現在の価値をそのまま保存することではない。
変化や失敗があっても、次の価値を生み出せる状態を継続すること。
現在の業務、担当者、技術、製品が変わっても、次の価値生成に使えるものが残るなら、価値は継続している。
正本 README §1
正本が企画の段階で問うのは、次の一つです。
この取り組みは、良い結果を次の価値へつなげながら、悪い結果の連鎖を止められるか。
正本 README「Purpose」
2. Value Asymmetry Principle
Upside は伝播可能にする。Downside は伝播させない。
良い結果と悪い結果を同じように扱わない。
- 良い結果は、再利用・接続・学習によって次の価値へつながる道を開く。
- 悪い結果は、境界・上限・復旧によって、それ以上広がらないようにする。
「伝播可能にする」とは、良い結果が次へ広がれる道を開いておくことであり、自動的に広げることではない。実際に広げるかどうかは、判断(Expand)で決める。
下を閉じる能力は、上に賭け続けるための原資である。
正本 README §2
3. Δ(期待との差)
Δ とは、取り組みの開始時に宣言した期待と、実際に起きたこととの差である。ここでいう期待は、前提としていた条件と、生み出そうとしていた価値の両方を含む。
正本 README §2「Δ(期待との差)」
- 期待を下回る方向の差を Negative Δ と呼ぶ。伝播させない。
- 期待を上回る方向の差を Positive Δ と呼ぶ。伝播可能にする。観測と保有は止めず、広げるかどうかは判断で決める。
VCDesign は、この一般的な意味を受けたうえで、Δ の基準線・向き・扱いを実装概念として定めています(芯:Δ)。
4. 5つの原則
Value Asymmetry Principle は、次の5つの原則として実践されます(正本 README §3 より引用)。
| 原則 | 正本の言葉 |
|---|---|
| 1. 残す | 業務・担当・技術が変わっても残るものを、先に決める。標準、判断根拠、データ、接続、技能。保有し続ける人のいないものは残らない。 |
| 2. 見つける | 平均的な改善量ではなく、再利用によって大きく広がる兆候を見る。二回目が安くなる。頼んでいない所から引き合いが来る。別の判断の材料になる。接続するほど一件あたりの価値が上がる。 |
| 3. 閉じる | 悪い広がりは予測せず、境界で止める。損失の上限を先に決め、失敗を局所化し、前提を境界で確かめ直し、単一点への依存を避ける。 |
| 4. 試す | 戻せる範囲で変更する。復旧・切替・撤退できる能力が、試せる回数を決める。 |
| 5. 伝える | 結論ではなく、根拠を次の判断へ渡す。受け取った側は、それを自分の文脈で再判断する。 |
この順番には意味がある。何を残すかを決めていなければ、広がる兆候は見つけられない。悪い広がりを止められなければ、再び試すことはできない。そして伝えた根拠は、次の取り組みで「残す」ものの起点になる。
正本 README §3
5. Decision
レビューの結果は点数ではなく、次の判断につなげます。判断は次の6語です(正本 README §8 より引用)。
| 判断 | 正本の言葉 |
|---|---|
| Proceed | Value Continuityを満たしており、現在の構造・現在の規模で進められる。 |
| Expand | Upsideの兆候が観測されており、Downsideの上限と復旧能力の範囲で、対象・規模・接続を広げる。平均的な効果が出ただけでは Expand の根拠にしない。 |
| Limit | 価値はあるがDownsideの伝播範囲が広すぎるため、対象・権限・規模・期間などを限定する。 |
| Reframe | 価値、対象、境界、前提のいずれかを再定義する必要がある。 |
| Defer | 外部条件や判断材料が不足しており、現時点では確定しない。 |
| Retire | 継続しても次の価値生成につながらず、終了する方がValue Continuityに適う。開始前の取り組みについては、開始しない判断を含む。 |
VCDesign での扱い(宣言の更新と次の状態)は判断のページにあります。
6. Review Output
正本を使って企画をレビューするときは、少なくとも次の5項目を出力します。各項目は ok / warning / blocking で示し、判定には必ず根拠を付けます(正本 README §9)。
- Upside — 何が次の価値へつながるか、何が再利用可能か、上振れの兆候は何か
- Downside — 最大損失は何か、どこまで伝播するか、どこで止められるか、復旧・撤退できるか
- Continuity — 業務・人・技術・製品が変わった後に何が残るか
- Asymmetry — Upside propagation と Downside containment が両立しているか
- Decision — 6語のいずれか
正本は、人間の企画判断だけでなく、AI による企画レビューの判定軸として使うことを意図しています。AI に渡すときの指示の例も正本にあります。
7. 正本と適用文書
| 文書 | 内容 |
|---|---|
| README.md | 定義、中心原則、5原則、判定構造。定義と原則の正本 |
| value-continuity-business-planning.md | 業務企画・投資判断への適用 |
| value-continuity-system-design.md | システム設計への適用 |
適用文書は、正本の定義と原則を各領域の言葉に読み替えたもので、5原則を同じ順番・同じ数のまま骨格として持ちます。
8. VCDesign との関係
Value Continuityは、経営判断、企画、組織設計、システム設計、運用設計など、それぞれの層で異なる方法によって実装される。個別の方法論は、この原則を満たすための手段であり、Value Continuityそのものではない。
VCDesign(Value Continuity Design)は、そのうち特に 判断と責任 の面からValue Continuityを実装する方法論として位置づける。
正本 README §10「Implementation Boundary」
VCDesign がどの仕組みで各原則を実装しているかは、芯:5原則ごとの実装にまとめています。